私を篩いにかけるハイヒール

三色のルブタンのハイヒール





シクラメン色に映りましたが
赤、黄色、黒と異なるのは
色だけではなく、高さや細さ
履き心地、用途が異なります。



赤のハイヒールは幼稚園の
送り迎えや買い物も含めて
日常生活の主軸と活躍をし
恋人のような最高の相性です。



しかし、購入した当初は足の
幅が私の幅と合わず、5分が
限界でしたが、半年をかけて
自分の足のかたちへ皮が伸び
今では最高の履き心地です。



黄色のハイヒールは主に仕事で
使用しています。こちらは
私が大好きなプラットフォーム
タイプであり、出逢った当初から
足の甲の幅を気にすることなく
私の足にも馴染んでくれました。



黄色のハイヒールも最高の相性で
履き心地も素晴らしいですが
恋人ではなく、仕事人のエスプリを
私に惜しみなく注いでくれるので
私の右腕となるパートナーです。



そして、黒のハイヒールですが
こちらが、私を強かに容赦なく
篩いにかけるハイヒールです。



レッスン時間外で、主に室内用
として履いていますが、時々
自分に鞭を打つように仕事の際に
履く事もあります。



黄色のハイヒールは14㎝ですが
プラットフォームタイプなので
前部分の厚みを差し引くと
赤と黒のクラシカルなタイプである
12㎝の方が実際の高さはあります。



純粋に12㎝の高さのヒールの方が
腹筋を引き上げる力は異なります。



赤と黄色の実際のヒールの高さは
異なれど、エナメル素材が共通です。
エナメル素材だからこそ、雨でも
汚れを気にすることなく歩けますが
黒のハイヒールの素材は蛇革です。



実は、この蛇革が私を苦しめます。



皮の一つの特質である素晴らしい
伸縮性ですが、仮に体重が外側へ
傾いた時には、それを阻止する
どころか、伸縮性の力が許容して
しまうため、限界無しに身体が外へ
流れます。



エナメル素材の場合は異なり
同じ皮であっても素材の固さが
ある程度、阻止してくれます。



美しい表現ではありませんが
伸び切ったゴムと引き締った
ゴムほどの大きな違いがあります。



足や脚の外側に体重が掛かっても
それを許容されてしまう代償は
軸を持って歩くことが出来ません。



それも、このハイヒールから
“私に依存をする貴女のせいでしょう”
と強かに、冷酷に言い放ちます。





それも、蛇革のハイヒールは
プラットフォームではないので
足の甲が赤のハイヒールと同様
5分足りとも足を入れることが
出来ませんでした。



半年をかけて、コツコツと
馴染ませていったのですが
馴染んだと安堵した瞬間
再び、元のサイズへ戻りました。



“貴女が放置していたのが悪いのよ “
強かに彼女が放ちました。



彼女は本当に手強いです。



今も全く私に心を開きません。
赤と黄色のハイヒールは
私の身体を知り尽くし、身体の
一部であり、相思相愛です。



一方で蛇革のハイヒールは
そのような同盟を求めず
レベルに満たない者は、一切
相手にはしないと云った状態です。



ただ、彼女は非常に純粋なので
私が2〜3日、集中して自分への
レッスンと課してエクササイズに
励むと、脚が見事に変わります。



脚の引き締り、特に膝上の
内腿の筋肉で分かります。



そういった意味でも、黒の
ハイヒールとは緊張の糸を
決して緩ませない指標です。



私を唯一、篩いにかけさせる
ハイヒールですが
エレガンスを纏うということは
このようなことであると実際に
思い出させてくれるのも事実です。



美しさに敬意を払いながらも
人を謙虚にさせてくれるもの



だからこそ、終わりなきゴール
があり、人は成長し続けることで
変化をしたいのだと思います。



それは、変化こそが現代に生きる
私たちの魂の歓びであると原点に
帰るからではないでしょうか



私は蛇革のハイヒールのお陰で
自分の未熟さを思い知らされ
仕事人でありながらも残念ながら
篩にかけられている身分です。



常にやらざる負えない状況の
中で生きていることで自分を
更なる高みへと持っていける
ことは事実です。

黒のハイヒールに認めてもらい
心を開いてもらうよう精進します。